生きている化石と呼ばれるメタセコイアは、整った円錐形の樹形で大きく育ち、秋には紅葉することから、日本各地で公園樹や街路樹として植栽されています。
香川大学農学部太郎兵衛館のメタセコイアの基本情報
香川県内でも目にすることの多いメタセコイアですが、保存木に指定されているのは「香川大学農学部太郎兵衛館」に植えられた樹だけです。
指定区分 | 香川の保存木 |
指定名称 | 香川大学農学部 太郎兵衛館のメタセコイア |
樹 種 | メタセコイア |
樹 高 | 35.00m |
幹 回 り | 2.80m |
指定年月日 | 1998(平成10)年3月31日 |
所 在 地 | さぬき市前山2730-3 |
保存木のある「香川大学農学部太郎兵衛館」ですが、その名の通り、香川大学農学部が管轄する実験実習宿泊施設となっています。
マップ
アクセス
【公共交通】さぬき市コミュニティバス【志度~多和線】の「大多和」バス停から林道(女体山を越えて大窪寺に向かう遍路道)を徒歩約45分(約2.5km程度あります)
さぬき市コミュニティバス[志度~多和線]の時刻表はコチラ
【自家用車】県道279号線(三木寒川線)などから県道3号線(志度山川線)に入り多和方面に南下し、「昼寝城址」の看板が見えたら左手の林道に入ります。その後は道なりに進むと林道左手の脇道に太郎兵衛館の入口が見えてきます。
車は、林道脇の広くなった場所に停めることができますが、往来の邪魔になるような駐車は厳禁です。
訪問レベル
★★★★☆(レベル4)
公共交通(さぬき市コミュニティバス)を利用して訪問することも可能ですが、最寄バス停から保存木のある太郎兵衛館まで小一時間ほど歩く必要があるため、自家用車での訪問をおススメします。
ちなみに、バスは一日4便(往復で8便)しかありません。公共交通を利用される場合は、運行時間を事前に調べ発車時刻に遅れないようにしてください。
『メタセコイア』ってどんな木?
中国原産のメタセコイアは「生きている化石」としてよく知られ、公園樹や街路樹として見ることも多い樹木です。
分 類 | ヒノキ科メタセコイア属 ※旧来、メタセコイアはスギ科に分類されていましたが、植物分類の主流となったAPG分類体系によりヒノキ科に統合されました。 |
別 名 | アケボノスギ(曙杉)、イチイヒノキ |
樹 高 | 25m以上 |
種 類 | 落葉/針葉/高木 |
葉の特徴 | 側枝という葉軸のような枝に2~3cmの細長い針状葉を鳥の羽状に対生でつける。尚、側枝自体も対生している。 葉は明るい黄緑色をしており、秋に赤茶色に紅葉した後、側枝ごと落葉する。 |
花と果実 | 雌雄同株で、枝の先に穂状に垂れ下がった黄褐色の雄花と枝先に1個の緑色をした雌花が2~3月頃に咲く。 果実は長さ2cm程度の楕円形をしており、10~11月頃に熟して褐色になり隙間から種子がこぼれる。 |
分 布 | 中国原産で、挿し木や種子を譲り受けて植栽された本種が日本国内に広く植えられている。 |
そ の 他 | 幹はまっすぐに伸び、円錐形のキレイな樹形になる。 香川県三木町出身の植物学者 故三木茂博士が、本種の化石を発見して1941年に「メタセコイア」と命名した。 当初は絶滅種と考えられていたが、1946年に中国四川省(現在の湖北省)で現生していることが確認された。 その後、1949年にアメリカ経由で苗木や種子などが日本に持ち込まれ、国内の研究機関や自治体へ配布された。 |
メタセコイアの果実は松ぼっくりに似ています。樹の周辺を観察していると、落ちている果実を見ることができます。
香川県内でメタセコイアを見ることができる公園として有名なのは「太古の森」です。
「太古の森」のある香川県三木町は、メタセコイアの発見者 故三木茂博士の生誕地でもあります。
三木町の「太古の森」公式HPはコチラ
紅葉したメタセコイア並木なら、高松空港から「さぬきこどもの国」へ向かう道路の街路樹がおススメです。秋にここを通ると、このように紅葉した姿を見せてくれます。
現地レポート
訪問月:2020年7月
それでは、香川の保存木「香川大学農学部太郎兵衛館のメタセコイア」を見に行ってみましょう。私は車で訪問してきました。
県道3号線を南下し、前山ダムや道の駅「ながお」を過ぎると下の写真のように看板が見えてくるので左折します。
しばらく道なりに進むと左側に側道があるので、少し手前の道路脇に車を停めて歩きます。側道の奥に見えるのが「香川大学農学部太郎兵衛館」の門です。
門扉には「関係者以外立入禁止」と書かれていますので、保存木のメタセコイアは外からの見学になります。天を衝く大木がずらりと並んでいますが、保存木は見つけられるでしょうか。
標柱まで少し距離がありますが、建物の入口近くの木に保存木の標柱が見えました。
ということは、標柱右側の大木が保存木のメタセコイアです。
望遠カメラで葉の様子を撮影してみました。
小さな葉が羽状に並んでいます。葉と側枝がそれぞれ対生しているし、保存木であるメタセコイアに間違いないです。
門扉付近や建物の雰囲気から、この施設は長い間利用されていないように感じます。
これでは、保存木を含めた樹木は適切に手入れされていないのではないでしょうか。
施設の老朽化もあるでしょうし、現在の状態が続くと保存木の指定が解除されるかも・・・ですね。
人の往来がほとんどない林道沿いで、天に向かって真っすぐに伸びたメタセコイア。
その力強く育った姿に癒されながら、太郎兵衛館を後にしました。